ますむらひろしの北斎展 ATAGOAL × HOKUSAI

宮沢賢治作品の漫画化や、アニメ『銀河鉄道の夜』(杉井ギサブロー監督)の漫画原作者として知られるますむらひろしさん。
その代表作として長く連載されていた漫画「アタゴオル」シリーズの作品展示です。
幼い頃よりアタゴオルシリーズが好き好き〜なワタクシ、急いで行ってきました!
これまでの作品の原稿原画や、イラストボードを展示した第1章と、「アタゴオル」の世界と葛飾北斎の浮世絵を合体させた作品「アタゴオル × 北斎」を展示した第2章の、2部構成。

解説にもありますが、「アタゴオル × 北斎」は、北斎作品の単なるパロディではないのです。このシリーズは北斎の描いた構図、色彩、江戸当時の絵画事情(当時入ってきた西洋の遠近法と日本の伝統的な浮世絵的表現法の混ざり合い)などが考察された、一種の北斎研究でもあ理ました。
原画を描き写す際にあたってのたくさんの気づきや、そこにどう「アタゴオル」の世界を絡ませるかなどの文が添えられており、それがとっても面白かったです。

特に『富嶽三十六景』など、原画と並べて展示されているシリーズでは、原画からどこを採用してどこをアレンジしたのかなどを見比べることができます。そこに描かれたご本人の気づきや、アタゴオルの世界に描かれているものをフックにして、北斎の作品をかなり隅っこまで見ることができました。
個人的に面白かったな〜という点をあげるとすると
- 直線と曲線の相互作用
- 見たままを描く西洋の手法と、デフォルメが基本の日本の手法
- 「え?なんで、それをそう描くんだ?!」という作者の戸惑い
あたりが興味深かったです。
じっくり見ていると閉館時間になってしまったため、急いで1階へ降りるとヒデヨシ発見!
みんなとの写真タイムにご機嫌な様子で応えておりました!

建物自体はこじんまりした美術館だけど、常設展も小気味好くまとめられていて、各国言語に対応したデジタル解説が新鮮でした。
飛び交うスペイン語やフランス語(日本語も)、外国人も多く来館してました。
(そう、みんな静かに見てない。ファミリーでワイワイしながら、それでも気にならないような展示スペースであった。)

以前から見たかった美術館の建物外観もクールでカッコよい(設計は妹島和世さんとのこと)。
前に広がる公園も含めての「すみだ北斎美術館」とのことで、遊具の形も面白かったですよ。こちらはまたゆっくり訪れたいな。

ますむらひろしの北斎展 ATAGOAL × HOKUSAI
会期:2018年6月26日(火)~8月26日(日)
開館時間:9:30-17:30(入館は17:00まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)
主催:墨田区・すみだ北斎美術館
▼すみだ北斎美術館 企画展ページ
http://hokusai-museum.jp/modules/Exhibition/exhibitions/view/584
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